麻生津道

麻生津(おうづ)道は紀の川沿いに和歌山と大和を結ぶ「大和街道」の名手宿にある高野辻から分かれ麻生津峠を越え、矢立にて町石道に合流して高野山へと通じる参詣道です。現在のように出発地点を自由に選べる時代なら、慈尊院からの町石道が雰囲気といい歩きやすさといい高野山への参詣道としては群を抜いていますが、すべてを脚に頼らざるを得ない時代にはさまざまなルートが高野山へ辿る道として開拓されたのでしょう。さて、かつての麻生津道の雰囲気の一片でも感じられるかとJR和歌山線・名手駅を起点に高野山を目指してみましょう。名手駅の改札を出て東に向かい突き当たりを右折して国道24号線を越え、真っすぐに行くと麻生津橋で紀ノ川を渡るのが近道ですが、時間が許せば大和街道を西に歩き高野辻で大和街道と分かれ麻生津橋へと戻れば少しでも往時を偲ぶことができるかもしれません。

麻生津道(麻生津橋〜第二の地蔵)

麻生津橋を越え最初の辻を左に曲り麻生津郵便局の前を道なりに進むと県道13号線に出ます。その角の右側手前に六地蔵の第一地蔵が祭られており、これから先町石道と合流する矢立の第六の地蔵「砂捏地蔵」まで旅人を案内してくれます。西高野街道(京・大坂道)でも同じように六地蔵が案内してくれましたが、これは心強いし励みにもなります。ところでおもしろいことに、この辺りでは京・大坂道のことを「東高野街道」と呼び、この麻生津道を「西高野街道」と呼んでいます。六地蔵といい街道名といい、かつては高野山への参詣道として賑わったのでしょう。県道13号線を横断して道なりに進むと正面に「右高野山」と書かれた道標に出会います。大門まで五里とあるので町石道とほぼ同じ距離だったのだろうと思われます。これから先、旧街道の雰囲気の漂う道がつづき、分岐する道が多く紛らわしいのですが、第一の地蔵からは次の見所を示す案内表示板が要所、要所にあって、その指示に従って先へ先へと進むと麻生津峠まで導いてくれます。「将棋石」「かじやの辻」「六地蔵(第二の地蔵)」・・・

麻生津道JR和歌山線・名手駅

麻生津道麻生津橋は車道は狭いが、歩道が分離されているので安心して歩けます。

麻生津道「六地蔵(第一の地蔵)」には自然石の道標も建っています。

麻生津道「右高野山 大門五里」と刻まれています。

麻生津道石垣を見ると傾斜のきつい道筋であるのがよく分かります。

麻生津道将棋駒の形をした「将棋石」

麻生津道「かじやの辻」には自然石の道標が置かれています。

麻生津道「六地蔵(第二の地蔵)」

麻生津道「六地蔵(第二の地蔵)」の前につづく道。この辺りは旧街道筋の雰囲気が色濃く残っています。

麻生津道(第二の地蔵〜麻生津峠)

第二の地蔵から「横谷」「しだれ桜」を過ぎ、奥へと進むと「堂前の地蔵」があって、ここにはベンチとトイレがあり、振り返っての眺望も素晴らしく、紀ノ川の向こうには和泉山脈が、左手奥には大阪湾から淡路島まで見渡せるので、小休止するには恰好の場所でしょう。ここまで名手駅から約45分。「堂前の地蔵」から集落を抜けると坂道もさらにきつくなり、振り返るごとに高度を上げていくのが実感できます。「ハイタ地蔵」を過ぎ、ミカン畑や柿畑の中を行きますが、妙寺からの三谷坂(勅使坂)への道と雰囲気は似ています。さらに高度を上げ、次の集落に入ると「大師の井戸」があって、ここから麻生津峠までの登りはまさに展望の道で、特に峠手前の眺望は大変に素晴らしいものがあります。堂前の地蔵から約40分の麻生津峠には、広場になった片隅に弘法大師の作と伝えられる石造りの「十一面観音像」が安置されており、その対面には「六地蔵(第二の地蔵)」が祭られていますが、樹木が邪魔をして展望はなく民家も近くにあってあまり落ち着ける雰囲気ではありません。麻生津峠の標高は520mで名手は30mなので標高差は490m。登り詰めなので、ちょっとした山登りです。

麻生津道「横谷」には「高野山へ四里半」と書かれた自然石の道標が建っています。

麻生津道いい雰囲気の道を行きますが、きつい登りがつづきます。

麻生津道「堂前の地蔵」にはベンチとトイレがあって、一休みするのにいいでしょう。

麻生津道「堂前の地蔵」前からは紀ノ川流域から和泉山脈、淡路島まで見渡せます。

麻生津道きつい登りがつづきます。

麻生津道振り返ると素晴らしい展望です。

麻生津道「ハイタ地蔵」

麻生津道ミカン畑や柿畑の中を登ります。

麻生津道

麻生津道時折振り返っては眺望を楽しみます。

麻生津道かなり高くまで登ってきました。この辺りにも民家はたくさんあります。

麻生津道「大師の井戸」。弘法大師伝説の定番です。

麻生津道峠道からは飯盛山に復元された飯盛城の天守閣が目を引きます。

町石道〜南海高野線上古沢駅

麻生津峠の手前からの素晴らしい展望です。麻生津峠からは展望がありません。

麻生津道峠の広場の片隅に「十一面観音像」が安置されている祠が建てられています。

麻生津道その対面にある「六地蔵(第三の地蔵)」